みんなのうるてぃまおんらいん

ウルティマオンライン、瑞穂シャードで遊んでいる日記です。

RP日記

(飛鳥) 死の街と内通者

インサイダーゲーム、それはいかにインサイダー(内通者)を炙り出そうか頭を悩ませる頭脳ゲーム。。。

簡単にルールを説明すると、親があらかじめ設定しておいたキーワードをYes No で回答できる質問で当てるのがまず最初。
当てることが出来たら、その答えを親以外で最初から知っていたインサイダーが誰なのかを当てるというゲームであたしは大好き。
というわけで今日はロストランドへの冒険、その後にインサイダーゲームをやったからその様子を日記に書いておくことにするよ。


*************

あたしが黒熊亭についたのはそれなりに遅い夜でした。
店内には知った顔が集まっていてどこかへ出かけようって相談してたとこだったみたい。
でもこの晩はマスターの姿が見えなかったね。
きっとまたお店をレナータさんへ押し付けてサイコロでも振っているんじゃないかしら?
弱いんだからやめておけばいいのにっていつも思うんだけど、楽しんでいるようにも見えるからなかなか止める気も起きないんだよね。

まあそれはさておき行き先がようやく決まろうとしていたよ。
誰が言い出したのかわからないけどフェルッカにある死の街へ行こうってことで決まったみたい。
死の街っていうのはロストランドのデルシアからほど遠くない場所の事なんだけど、お墓や怪しげな砦がある廃墟みたいなところね。
そこにある祭壇になにかするとモンスターがたくさん湧くんだって。

あたしは場所を知ってるくらいの知識だったからみんなの後ろをクーシーに乗ってついていくのが精いっぱい。
だって話を聞いているときからドキドキしっぱなしだったなぁ。
いくら大勢だからと言ってモンスターがいっぱいなんて怖いもんね・・・・

死の街へついたら誰かが祭壇に儀式をしたみたいで、アンデッドたちが次々に湧き出てきた。
あたしはもう逃げまどいながらそれでもクーシーに頑張ってもらったり扇動したりしてみたよ。
とてもみんなの様子を見ている余裕がなくてどこで何が行われてるのかわからなかったなぁ。
途中でリッチに挟まれたところで気絶しちゃって、目覚めたらデルシアにいたからあわてて戻ったりもしたくらい・・・・

戻ってみたらみんなが何かを囲んでるところだったからきっとボスか何かだと思って一応加勢してみたよ。
囲まれたまま姿は確認できなかったけど、しばらくして恐ろしげな断末魔が聞こえた。
どうやらアンデッドの親玉みたいなやつだったみたいだねぇ。

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全て終わった後、黒熊亭に戻って解散ってとこだったんだけど、なんとなく遊び足りない面々が数人で残ってた。
そしたらマスターがどこかから戻ってきてね、インサイダーゲームをやろうって言いだした。
きっとどこかでサイコロか何かで負けて帰って来たんじゃないかしら?
だからあたしたちから少しでもせしめて、使い込んだお店の売り上げ金をなんとかしようと思ったのかもしれないね。

暇を持て余していたあたしたちはもちろん大歓迎で返事をしたの。
だって今まで何度かやったインサイダーゲームでマスターが勝ったことないんだからね!

こうしてゲームが始まりました。
マスターが用意した答えが簡単すぎてあっけなく当てて、あたしはご機嫌だったんだよね。
でもこれは大きな間違い、勘違いだったのを後から知ったの・・・・

ルールその1 答えを当てる
これはもうそのまま、キーワードを当てるだけだからよっぽどのことがない限り当てられるはず。
なんといっても人数が多いいからどこかからいい質問が出るし、それを聞いてさらに質問を重ねられるからね。
でもこれが罠だった・・・というか勝手に罠にしちゃってたのがあたし。。。

見事に答えを言い当てた時は何とも言えない嬉しさがあってね。
それはもう得意気だったんだから!
ところが・・・

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ルールその2 インサイダーを探し出す
実は本当の難しさはココにあるんだよ?
すぐに答えを当てるより、誰がその答えを知っていてうまく誘導したかをよく考える必要があるわけ。
それは答えを当てるよりもはるかに難しいことだから、よーく頭を使わないとだめなのよね。

って・・・それをもっと早く知りたかったなぁ。
いや、まあ、みんなはそう言ってたのかもしれないけど、どうもあたしにはピンと来てなかった。
そのせいで結局またインサイダーの一人勝ちになってしまった・・・・

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こんな感じで楽しい夜は更けていき散々遊んで疲れたあたしたちは黒熊亭を後にしたよ。
なんといっても今日は、いつもお仕事ばかりで一緒に遊んだことの無かったMayuさんと一緒に遊べたのが嬉しかったなぁ。
お仕事中で忙しかったはずなのにお付き合いありがとうございました!

今日はあらたな気付きを得ることができた様な気がする。
一つは、人間の世界では正直なことだけが正解じゃないってこと。
もう一つは正直なことが正義なわけじゃないってことかな。
だってね、こっちに来てから誰かが他の人へ向かって 「そこのヘンテコな帽子のやつ」 なんて呼びかけるところ見たことないからね。
頭に浮かんだことをすぐにしゃべっていいのはエルフの村の中だけってことね。

それでもいまだにいまいち理解できてないこともあるのよねぇ。
それはね・・・・・
頭でいくらわかってるからって、じっと黙ってることができるのはなんでなんだろってこと!

だからあたしも今度からあんまりしゃべらないように頑張ってみるつもり。
上手くいったらちゃんと日記に書こうっと。


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あとがき的なもの

この日は#RPGの面々とFロストランド 死の街でチャンピオン湧きをしてきました。
その後は黒熊亭でインサイダーゲームをしたんですが、いつもどうもうまくいきません。。。
とにかく回答したいって気持ちが先に出てしまって自滅しているみたいなので、次からはもっと上手に立ち回りたいと思います><

おしまい。

(飛鳥) 賞をいただくことの重み

首都ブリテイン東の街はずれにあるイベントホール、この場所に来るのは何度目だろう。
先日の肖像画コンテスト授賞式の他に、首長さんたちの話し合いとか披露宴とかでも訪れていたからもう慣れた場所って感じ。
のはずだったんだけど、今日ばかりはちょっとそう言う気楽な気分にはなれませんでした。

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だって、この日の集まりはヴェスパー首長主催による 飛鳥文学賞 の授賞式なんです。
そしてその式には受賞者としての参列なんですから緊張しないはずがありません><
応募作品はすべて拝読させていただいたんだけど、どれも素晴らしいものばかり。
そんななかであたしの拙い小説がまさか賞をいただくことになるなんて想像してなかったの。

ドキドキは止まらないし手は震えちゃうし、壇上へ上がることを躊躇していたんだけど一緒にあたふたしてたにぼしちゃんがとうとう壇上へ!
こうなったらあたしもあの場所へ行くしかないのか・・・って思いつつためらってた。
そしたらバーチンさんが 「胸張っていってきなー」 って背中を押してくれたの。
あたしは古代竜に後ろからつっつかれたみたいにびっくりしたけど、おかげでようやく壇上へ向けて一歩踏み出すことができたよ。

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次々に呼ばれて一人づつ挨拶をする受賞者の皆さまはとっても輝いて見えたなぁ。
だって、あたしは応募者ではあるけど読者の一人でもあるわけで、そのなかには心打たれた作品もたくさんあったよ。
その中でも特に気に入った作品を書かれた作者さまとこうして並んで座っているのは緊張するけどとても光栄でした。

そしていよいよあたしの番が来てしまった。
気の利いたこと喋ろうといろいろ考えてたんだけど、途中で頭が真っ白になってしまって尻切れになっちゃったね。。。
頂いたのはYew首長賞ということで、きっと在りし日のドーンとシェリーを題材にしたことが良かったのかな。
なんといってもドーンの出身地はYewだし、いまも旦那さまのオルスとともに大滝の近くで眠っていますからね。

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壇上に座っていたのは事前に発表されていた受賞者だったんだけど、そのあと本命とも言える読者賞の発表があったよ。
この読者賞にはお友達が三人も選出されて、なんだか自分のことのように嬉しかったな。
本音を言うとあたしも欲しかったけどね!

最後は、残念ながらこの場に来られなかったLibraryCafeのLatourさんにも感謝しつつのにぎやかな閉幕だったなぁ。
あたしがこのブリタニアで物書きをするきっかけをくださったラーさんにはホント感謝です。

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会が終わった後にはこれこそ本命とも言える感想を受け取ったよ。
まさにお楽しみ中のお楽しみ、読者からの感想なんだけど、実はどれくらいいただけてるのか不安でたまらなかった・・・・
けどね!そんな心配は杞憂だったみたい!
こんなにたくさんの感想がいただけてあたしは感動で涙が出てしまったよ。

もちろんすぐに読ませていただいて一つ一つから喜びをいただき、その責任の重さを感じたの。
だってあたしは自分が思うがままに書いただけなのに、それを読んでくれた方がいて評してくれた方もいる。
それだけでも出来すぎなくらいうれしい出来事なのに感想まで頂いちゃうなんてね。

もちろんあたしも感想は書いたけど、書くのが好きだから苦になるわけじゃない。
でも感想くださった方全員が今回の文学賞へ応募したわけじゃなく、あくまでいち読者として寄せてくださったわけ。
それはもう嬉しいなんて言葉で言い表すには足りないなって感じるんだよね。
感想一つ一つはあたしにとって大切な思い出になると同時に今後の創作の糧になる。
そうしていかないといけないっていうと大げさだけど、少なくとも期待をしているということを作者へ示すものの一つが感想なんじゃないかな。
だから寄せてくれた方々からの気持ちに 「重み」 を感じるの。

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せっかくなので頂いた感想の一部をご紹介しますね。
見開きでお名前が入ってしまう物を外しただけで全ての感想は全て同じだけ感謝してますよー 
こちらはこの感想の方が立派な文なんじゃないかなって思うくらいしっかりしてました。
他にも丁寧に書いてくれているもの、ここが良かったって言ってくれてるものも多かったなぁ。

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こっちはちょっと変わり種?
多分褒めてくれてるんだと受け取りましたー

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頂いた感想や選評では続きを~みたいに仰ってくださった方も多くて嬉しい限り。
でもこのお話はこれ以上は書かない、書けないので・・・・残念ながらごめんなさい。
もしこの先もっともっと筆力がついて ~if の物語がハッピーに書ける自信がついたら書けるかもしれないかなぁ。
その時が来て書くことができたなら、また読んでくれると嬉しいな。

はあーそれにしても今日はとっても嬉しくて充実してて、身の引き締まる一日でした。
とってもいい刺激ももらえた気がするし、またの機会があってもなくてもまたなにか書こうと思いました。

おしまい。



********
あとがき

とまあ、こんな感じで飛鳥のNixieが文学賞で審査員賞をいただいてしまいました。
うれしくて飛び上がって喜んだけど緊張しちゃって大変でした。。。
また掲題にも掲げましたが、賞や感想をいただくことに対しての責任とその重みはしっかりといだきつづけていきたいと思います。

今後はUO本としてLibraryCafeに収蔵されるのかと思いますので、ご興味あればぜひお読みくださると幸いです。
他の作品も素晴らしいものが多かったんですが、そんななか審査員の心に響くものが書けたことは大変光栄でした。
Web版はこちらからお読みいただけます。



受賞作品すべてのあらすじ、選評が公開されておりますので、ぜひあわせてお読みくださいませ。
こちらはLibraryCafeのLatourさまによる紹介ページとなっております。



それでは今回はこれにて失礼します。
エンターティナーなすべてのブリタニア民たちに感謝!

(飛鳥:#RPG) またまたダイコンアクター

とある日、黒熊亭の隣にあった廃墟のような建物が装いも新たにお店になったと聞き見に行ってみた。
外から見るとトクノ式風なこじんまりとしたお店みたい?
でもその敷地内に一歩踏み込んでみて私は飛び上がってしまうくらい驚いた。
だって・・・・・建物の中には沢山の死体や骨、血が飛び散るおどろおどろしい光景が広がっていたの・・・

しかも店員さんには黒熊亭ゆかりの人物を真似させるという手の込みよう。
これはもう・・・ハラスメントでしょ!
ユー首長さまの査察と取り締まりがいつになるか、きっと時間の問題ね。

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そんな奇妙なお店は黒熊亭のすぐ隣なわけで、となると当然他にも黒熊亭の常連さんが集まってきた。
やっぱりみんな思うとこはあるみたい?
かと言っていつまでも小さなことにとらわれないのがいつもの面々のいいところだ。

「ダイコンアクターやりたくない?」

人が集まったところで大陽寺さんが唐突に提案した。
ダイコンアクター!前回やったのはもう結構前だけど楽しかったなぁ。

「私もやりたいー」

すかさず返事をするとロクサネさんとバーチンさんも乗り気な様子を見せた。
こうして4人で騒いでいると、きっと店内まで聞こえたのだろう、黒熊亭から誰かが出てきてこちらへ向かってくる。
誰かというのは失礼かな、それはマスターのグレンさんだった。

「おう、おまえら賑やかだな。ダイコンアクターやるなら俺も行くぜ」

お店はどうするの?って聞こうと思ったけどそんな質問に意味がないことを悟った私は開きかけた口をつぐんだ。
あーあ、またレナータさんが一人で切り盛りする羽目になったわけだ。
なんだか悪いことをしてしまったかもしれない。
今度なにか甘いものでも差し入れすることにしよう。
心の中で両手を合わせごめんなさいとつぶやいてみたけど、足は大陽寺さんの誘いのままニューマジンシアへ向かっていた。


~~~~~~~~

『飛鳥オペラ座』

この看板をみると心が躍る。
オペラというものは見たことがないけど、遠い異国か異世界かにある芸術の一つらしい。
それは歌いながら劇をするものだと知った時、私はその様子を想像しただけで興奮してしまった。
このステキな劇場で演劇を見ることのできる日が来るのが待ち遠しい。

でもとりあえず今日は見る側ではなく演じる側、それもアドリブの即興劇である。
そのダイコンアクター自体はゲームと言えばゲームだし、演劇と言えば演劇だし、どっちの要素もある楽しい遊びなのだ。
この劇場を手掛けた大陽寺さんの挨拶からはじまった今回のダイコンアクター、いったいどうなるんだろう。

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まずは一回戦、参加者はバーチンさん、ロクサネさん、大陽寺さん、そして私。
司会はいつものようにマスターがやってくれた。
いつの間にか観客が増えていて驚いちゃったけど、きっとお店にいられても大変だからってレナータさんがこちらを案内したんだと思う。
うんうん、それは大正解ね。

ともあれ最初の4人で始めた駆け引きは、決めての無いまま時間いっぱいまで続いてしまったの。
どのNGワードもぽろっと出そうかなって思ったけど、誘導するにはちょっと難しかったのかなぁ。

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メンバーを入れ替えての2回戦は見ごたえのあるものになった。
テーブルを囲んだのは、にぼしちゃん、タイガーリリーさん、そして私はお初だったサラさんとデンさんことデンドロビウムさんの4名。
テーマは 『 鯉釣り大会 』 についてだって。

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このダイコンアクターだけど、実は見てる方が面白いんだよね。
NGワードがわかってるから誰をひっかけようとしているかがすぐにわかってドキドキしちゃう。
そしていよいよ、マスターの掛け声でいざ開演!

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開演と同時に舞台へ入って来た4名が椅子に座って会話を始めた。
口火を切ったのはタイガーリリーさんだったかな。

「鯉釣り大会、飛鳥は2位だったらしいじゃないか」

「ドーンだYO!」
「どーん!」
「ドーン」

とまあ、いきなりのNGワードで退場に・・・・
たぶん過去最速だったんじゃないかなぁ。
これってまさに出オチって感じで、狙ってもなかなかできる物じゃないよね。。。

その後3人となってしばらく会話が続いたけど、また一人脱落することになった。
次はにぼしちゃんがNGワードの『全然』を言ってしまったね。

こうして残されたのはサラさんとデンさんのお二人。
まさに一騎打ちだったんだけど、どちらも相手の誘導には乗らずタイムアップ。
最後の最後まで気の抜けない好勝負でした。

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最後はマスターの総評があって、優秀賞はタイガーリリーさんということになりました。
確かにあの最速具合は凄かった・・・・
結果の真似はしたくないけど、攻めの姿勢は見習いたいかなって思ったよ。
私ってどうしても受け身がちだからもっと積極的にならなきゃなぁってね。

そんなこんなで夜も更けて、とっても楽しい一日の締めくくりとなりました。
遊びなのに飛鳥オペラ座を使わせてもらえたのも嬉しかったなぁ。

そういえばこの劇場で演劇が予定されてるらしいよ?
今はマスターが一生懸命台本を書いているんだって言ってた。
どんな劇になるのか楽しみだね。


**************
あとがき
#RPGのメンバーでダイコンアクターをやりました。
ルールは、参加者それぞれが他の参加者のNGワードを決めてそれを言わせるようにするというものです。
もちろん自分に決められたワードはわからないので誰かに誘導されていることにも注意しなくてはいけません。
この駆け引きがなかなか面白いんですが、作中にも書いたように、あたしは見ている方が楽しいですね。
進行役はちょっと大変かもだけど、マスターに甘えて楽しませてもらってます。

今回もとっても楽しかった。
みなさまありがとうございましたー

(飛鳥:#RPG) 老齢の騎士は無謀が過ぎる

その日、黒熊亭はいつものように賑わっていた。
マスターはまたサボっているのかお留守である。
かわいそうに、一人残されたレナータさんが一人で慌ただしく切り盛りしていた。
とは言っても安酒で長時間粘る常連ばかりで売り上げはあまり期待できないだろう。

「ほう、ここが噂に名高い、屈強な冒険者が集う酒場というやつか」

ワイワイとくだらない話で盛り上がっていた店内がピリッとした空気に代わる。
全身を真新しいプレートメールで固めたその姿へ一同から値踏みをするような視線が注がれた。
一瞬の緊張と静寂のあとタイガーリリーさんが口を開いた。

「じいさん、こんなところへ何の用だい?」

「うむ、確かに用があってここへ参った。しかしその前に吾輩のことを説明させていただこう」

質問と答えが一致してないよ?と言いたいところだけど、まあ刺激の少ない番だから暇つぶしに聞いてみるのもいいだろう。
それはその場に居合わせた者たちが何かを期待しているということがわかるからでもあった。

「吾輩は元王国騎士団のドンキ・ホエールと申すものだ。数年前に退役するまで世界中にその名を轟かせたものだ」

「聞いたことないね」
「初耳ですわー」

バーチンさんとロクサネさんは立て続けに同じことを言っている。
そして私も同意見だった。
だって王国騎士団があることは知ってるけど、そこの誰々なんて個々のお名前は存じていないんだもの。

「ふむ・・・・こんな辺境の地までは届いておらんかったか。まあ仕方ない」

「うん、確かに辺境だ」

タイガーリリーさんが語気を強めて返答する。
それに呼応するように何人かが「辺境だ」「辺境だ」と繰り返し叫びはじめた。
こうなるとなかなか止まらない。
内心に湧き上がる怒りに似た感情は悪ふざけという形で表現される。

「辺境だ!」
「辺境だ!」


『ダンッ!』

大合唱を遮ったのは、エールの瓶がカウンターに叩きつけるように置かれた音だった。
その音を鳴らしたのは、こわばった表情で無理やり笑っているレナータさんだ。

「大陽寺さん、あちらのお客様へお渡ししてもらえる?」

「あ、ああ、ほらじいさん、ここは酒場からな、まずは一杯注文してやってくれよな」

「う、うむ、かたじけない。ではいただくとしよう・・・・」

老騎士は手渡されたエールの瓶に口をつけのどを潤している。
そして立派なあごひげに垂れたエールを手で拭ってからまた語りだしたのだった。

 ドンキ・ホエールさんが言うには、これまでの人生のほぼすべてを王国騎士団へ捧げたことは誇りらしい。
しかし誇り高き騎士として王国に仕えていたということは自由な冒険なんて夢のまた夢であったのもまた事実。
退役してから得たのは、少々の恩給と使い切れないほどの退屈な時間だけらしい。
その時、風のうわさで黒熊亭に集う冒険者たちのことを知ったのだという。

「そこで貴公らに依頼したい。共に冒険へ向かい、吾輩の護衛を引き受けてほしいのだ」

「ほう、面白そうだ」
「報酬次第かなー」
「なぅなぅ♪」

「よかろう忍者娘、報酬は弾むぞ。心配するな、吾輩は少々小金持ちだ。」

老戦士 ドンキ・ホエールはそう言ってつむぎさんたちの要求に応えることを約束し、ニヤリと笑いながら目的地を告げた。

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「ここは・・・・コブトス」

「左様、この中を進み最深部へ到達できたなら、このコブトスの支配者たる魔女が姿を現すらしいのだ」

「ああ、魔女コーラだね。ちょっと手ごわいけど・・・平気かい?じいさん?」

「平気かどうかは貴公ら次第、ではないかな?報酬分の働き、冒険者の腕前とやらを見せてもらおう」

それを聞いたタイガーリリーさんはあきれ顔で笑い、そしてわざとらしいくらい大きな声で私たちに尋ねた。
もちろん今まで数々の洗浄を経験してきた冒険者たちばかりだ。
ここまできてやめておこうなんて者は一人もいない。
当然のように全員が力強く頷いた。

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いざ出陣と入り口を開け、タイガーリリーさんを先頭にダンジョン内をぞろぞろと進む大行軍の始まりだ。
これだけ手練れが揃っていれば大抵のモンスターは敵ではないだろう。

でも実は、私もここへ来るのは初めてだった。
冒険には前々から興味はあるものの、腕に自信がないため普段は全くと言っていいほどダンジョンには立ち入らない。
誘われればついていくことはあるけどたいていの場合は本当にただくっついていってるだけである。

それが今日はちょうどよく大勢集まっているタイミングで護衛の依頼があったのだ。
いっぱしの冒険者面でついていけばいい、なんという幸運な出来事だろう。
そんなことを考えながら見知らぬ道を駆け抜けて奥へ奥へと進んでいった。

「む、いたぞ、魔女コーラだ・・・まだこちらには気づいていない」

雪猫さんが小声でみんなに伝達する。
すると突然地割れのような、氷柱のような、不思議な模様が地面を進んでいく。
はっきりとはわからないけど、コーラを中心に周囲へ無差別攻撃をしているのかもしれない。

「あれはなんじゃ!?」

突然大きな声が聞こえたと思ったら、馬に乗った老騎士が飛び出してしまった。
魔女コーラがその物音と大声に気が付かないはずもなく、鋭い眼光をこちらに向ける。

「やれやれ、こまった爺さまだな」
「なぅなぅ♪」

大陽寺さんとねこかっぷさんは呆れているのか楽しんでいるのかわからないような表情でホエールさんを追いかけるように飛び出した。
続いてタイガーリリーさんがかばうようにコーラの行く手を遮るべく刃を突き出す。
しかしコーラの歩みは止まらずホエールさんに襲い掛かる!

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『ガゴンッ』

絶体絶命老騎士の冒険もここまでかと思われたが、禍々しい色形をした魔女の杖が振り下ろされた先はルーンビートルの固い甲羅だった。

「まったく、無茶しすぎなのです」

あとほんのわずか遅かったらどうなっていたかわからない、そんなタイミングでウェレンさんがルーンビートルを滑り込ませたのだ。
だけどいつまでも感心してる場合じゃない。
私もなにかしているフリでもしないと冒険に不慣れだってばれちゃう。

でもそんなこと考えている暇もなく、あっという間にみんなそれぞれの持ち場についていた。
あれこれ相談したり作戦を立てたりする必要なんてまるで感じられずに自然と陣形が出来上がっていたのだ。
ウェレンさんのルーンビートルにつづいて大陽寺さんの煙を吐く黒い馬がコーラにとびかかる。
そしてロクサネさんのジャイアントビートルと雪猫さんの鷲が続いた。
さらに取り囲むようにしてねこかっぷさんとにぼしちゃんが魔法で、つむぎさんとバーチンさんが弓で攻撃を始めた。
私は出遅れたけど、相棒のユニコーンに攻撃命令を出した後魔曲で加勢する。

肝心のドンキ・ホエールさんは・・・・
タイガーリリーさんにしっかりとサポートを受けながら自慢の槍でコーを突いている。
四方八方から攻撃を受け続ける魔女は、誰に反撃をすればいいのかわからず戸惑っているようだ。

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ほどなくしてコーラは地面へ突っ伏して動かなくなった。
まさに数の暴力と言ったところだろう。

「おじいちゃん、満足したでしょ?早く帰って報酬ちょうだい」

つむぎさんがそう声をかけるとホエールさんは首を横に振る。
これはなにかおかしな展開が待っているように思えてならない。

「確かに魔女を倒すことはできた。しかしこれではいかん、いかんのだ!」

「なにか不満でもあるのかい?依頼通りに魔女を倒したじゃないか」

雪猫さんが不満そうにホエールさんへ言い返す。
するとホエールさんが少しうつむいたまま視線を上げ目を光らせた。
その瞳にはとても年老いたとは思えない光があり、まだ満足していないことを物語っている。

「おぬしら知っておるか?このコブトスの秘密を」

「秘密?」

「ここへ来るまでの道中で見ただろう?あの大量のモンスターたちを。それをとにかくたくさん倒すことでな・・・・」

「倒すことで・・・・・?」

私は思わずつぶやいてから息を呑み続きを待った。

「時折特殊なアイテムを落とすモンスターがいるという。あーてぃふぁくとというそうだが・・・」

アーティファクト!確かにこのブリタニアには沢山のダンジョンにたくさんのモンスターが生息している。
その中には変わった武器や防具、アイテムを落とすモンスターがいるというのは半ば常識だ。
それがこのコブトスにもいるなんて!

「確かに魔女を倒すことはできた。しかし手ぶらで帰ったところで誰がそれを信じようか。なにか・・・せめてなにか証になるものを持ち帰らなければならないだろう?」

「まあ確かに一理ある。魔女も大したことなかったから物足りないと思っていたところさ」

「でもさ、依頼はもうこなしたんだからこれ以上付きあわせるなら追加料金が欲しいところね」

「むむむ・・・忍者娘よ、しっかりしておるな・・・仕方ない、追加をはずもうじゃないか」

「じゃあ決まりね。みんなもいい?」

反対するものは誰もいなかった。
口には出さなくてもやっぱりみんな物足りなかったのだろう。
もちろん私もうなづいて行軍についていった。

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それからは明確な目的地がないままにこのコブトスダンジョン内を隅から隅まで走り回った。
ときおり行き止まりがあったりモンスターが一か所に集まっているところがあったりして苦戦することもあった。
でもそのほとんどの窮地はホエールさんが一人で進んでいきモンスターと鉢合わせしては走って戻ってきたことによるものだ。
何と言ったらいいのか・・・・悪意無き禍いの種、といったところか。

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大広間に出ると亜人の群れが手厚く歓迎してくれることもあった。
もちろん私たちもその歓迎に応えるために全力を尽くす。
しかし特別なアイテムなんて一つも見つからない。
本当に手に入れることができるのだろうか。

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終わりの見えない戦いに全員が疲れの色を隠せなくなった頃、号令がかかり全員表へ出ることになった。
どうやら今日はこの辺で引き上げることとなったみたい。
私たちが疲れているということはご老体も相当疲れたのだろう。

外へ出ると老騎士 ドンキ・ホエールさんは私たちを整列させて演説を始めた。
いちいち堅苦しい物言いも、栄誉ある戦いの証を求めることも、形式を重んじる騎士という職業柄なのだろうか。

「貴公らの働きによってこのコブトスの秘密に迫ることができた。礼を言う」

そりゃ当初の目的だった魔女を倒すことは叶ったんだからね。
特別なアイテムとやら手に入らなかったのは残念だけど。
そのことを口にするとホエールさんは言った。

「いやいやそんなことは無いぞ。コブトスの魔女を倒したことは事実であるからして、吾輩の歴史にも刻まれることであろう」

刻まれたのはホエールさんの鎧についたモンスターから受けた攻撃の跡くらいじゃないのかな?
そう思ってはみたものの、本人が満足しているようだから口を挟むのはやめた。
だってじゃあやっぱり何かを手に入れるまで続けようって言われたら困るもんね。

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ようやく帰路についた一行は黒熊亭へと戻ってきた。
最後に約束の報酬をもらうとさっきまでの疲れた顔なんて吹き飛んでみんなホクホク顔である。
私も思わぬ臨時収入でずっしりとなったバッグの重みに満足だ。

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こうして本日の冒険は無事終わりを告げた。
帰り際ホエールさんが「また会おう」と言いながら去っていった。
その言葉を聞いた私は期待と不安を混ぜ合わせた気分になり家路についたのだった。

おしまい。



*************************
あとがき

飛鳥での所属ギルド #RPGでのギルド内イベントの様子を創作日記として書き記してみました。
GMによるシナリオ、クエスト形式でのイベント参加は初めてだったので色々戸惑いもありましたけど楽しかったですね。
そんなギルド#RPG、今回のイベントページはこちら ↓



全5回ということで、老騎士ドンキ・ホエールの次の依頼が楽しみです。
直接は関係ありませんが、大昔に瑞穂の自ギルドでやってみたかったことが今昇華されているようで楽しいだけじゃなくて嬉しい気分で参加できました。
マスター、みなさま、おつかれさま & ありがとうございました!

(飛鳥) グレーターなチキン

「あの・・・ちょっといいですか?」

いつのまにか目の前にやってきていた、ピンク色のクーシーに乗った方が口を開いた。
どうしよう、知らない方だけど何かの勧誘とかかな・・・・
思わず警戒しながらも無下にはできないので一応返事はしてみる。

「はい、なんでしょうか?」

「にわとりって何を食べるのかわかりますか?」

よく見るとその方の足元には鶏がちょこんと鎮座していたのだ。
しかもその子は普通の鶏よりも一回りくらい大きくてまるで七面鳥のようにも見える。
まあ珍しい!この子ったらグレーターチキンだわ!と心の中で叫んでしまった。

一瞬質問されたことを忘れてその鶏に見入ってしまったけど、ハッと我に返り答えようと考え込んだ。
たしか干し草を食べるはずなんだけどそれじゃダメなのかなと思いながら私は聞いてみた。

「干し草食べませんか?農家で売ってるんですけど」

「農家・・・・?」

その時、やり取りを見かねたのか、通りがかりのどなたかが目の前に干し草を放り投げた。

「ありがとう、そうそうこれです、これが干し草ですよ」

「おお、ありがとうございます」

二人でお礼を言ってからグレーターな鶏へ餌をあげることができた。
でもこれで解決したわけじゃない。

「じゃあ農家まで行きましょう。ブリテインにもありますからね」

そう声をかけてから私はブリテイン西の橋を超えて走り出した。
でもクーシーの方がついてこない、なんで!?
私は立ち止って振り返った。

すると鶏の歩みに合わせてゆっくりとことこと歩いている姿が見えた。
私ったらクーシーが走る速度に遅れないようにと全力で駆け出してしまったのだ。
うっかりしてたけど、特別に鍛え上げていない鶏の歩みは遅い、そんな初歩的なことを忘れてしまうなんてテイマー失格ね。
こうして、もう一度合流してからゆっくりとのんびりと、歩いてブリテイン郊外の畑に向かった。

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テイマーの能力で確認すると鶏の餌は穀物と干し草とのこと。
干し草はどれのことだかわかってるから穀物を与えてみようって話になったの。
まずは畑に生えていた小麦を拝借して与えてみてもらったんだけど食べてくれないみたい。

仕方ないので近くの農家で何か食べそうなものを見繕ってみたわ。

「穀物穀物・・・・当てはまりそうなのはとうもろこしかしらねぇ」

「よし、試してみますね。・・・・・・・とうもろこしは食べてくれません、尻込みしちゃうみたいだ」

「えー、とうもろこしって穀物じゃないのかなぁ」

他に売っている物も見てみたけど良さそうなものがなかったので、まあ干し草でいいかということにした。
普段は手紙を届けてと頼まれたり、通りがかりの人を街へ送り届けたりすることはあったけど、鶏の餌を探すお手伝いは初めての経験だった。
いつもの味気ないお仕事と違って今日はとっても楽しかったな。

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一仕事終えていい気分になったところで街に戻ると、評議会なるものがやっていると話している人たちがいた。
どうやらこの世界を治めている王様と色々な街の首長さまによる会議らしい。
一般の人たちでもでいる自由とのことだったので少しだけ覗きに行ってみることにした。

もう始まってるって聞いてたから急いで向かおうとお城の中を走っていたら警備兵に怒られちゃった。
もしかして捕まえられちゃうかもって思ったけど、警備の方はそれ以上怒りもせず歩き始めた私に向かってにっこりとほほ笑んでくれたの。
屈強な戦士さまの笑顔ってステキよね、私は思わずウインクを返しちゃったわ。

評議会室へ入るとなんだかお堅い雰囲気で、テーブルもないしお茶もお菓子もなかったからガッカリよ。
ちょっとしたパーティーなのかなって勝手に思ってたから期待外れだったな。

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神殿がどうこうとかって話が多かったみたいだけど、しょせんは人間世界の問題かな。
勝手気まま、自由に暮らしている私たちエルフにはあんまり関係のなさそうな話なんだと思う。
でもこっちの世界で盗賊になっている悪いエルフたちが大勢いるから、いつかその話題が出ないとも限らないかもね。
王様の怒りを買って根こそぎ討伐される前に改心してくれるといいんだけどなぁ。

それにしてもブラックソーン王って威厳もあってきらびやかな雰囲気もあってちょっとカッコよかったな。
これならたまに見に来てもいいかなって思っちゃった。
人間族やガーゴイル族と違って、エルフには国も王様もいないからちょっとだけうらやましかったのかもしれないね。


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その後普通の鶏を捕まえて餌を上げてみました。
その結果、干し草は食べましたが小麦やコーンはやっぱり食べません・・・・
穀物とはどれのことなんだろうって謎が深まった、そんなお話でしたー


プロフィール
2001年ごろのルネッサンス時代にウルティマオンラインをはじめました。 その後幾度かの休止を挟みつつ細々続けてきました。 メインシャードは瑞穂、フェルッカのヴェスパーに住んでいました。 基本的に戦闘は苦手です。。
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